2017 04/24
器具・製品

飛び出し、コードの噛みちぎり…思わぬ物理トラブルを防ぐ

1.ハチェットフィッシュなどに多い「飛び出し」。フタでカンタンに防止

病気以外で多いトラブルといえば、やはり魚の「飛び出し」が挙げられます。特に近年では水槽にフタをしないオープンアクアリウムスタイルも多いため、気にかけていないと、飛び出し事故も起きやすい傾向となります。

もっとも簡単で確実なのは水槽にガラス蓋をし、ライトなども含めて上面を覆ってしまうことです。これができれば大体の飛び出しは防げます。小型でよく跳ねる魚の場合では、スキマも布やウールなどで埋めて厳重にします。

画像出典:http://www.acry-ya.com

飛び出しを起こしやすい魚の代表格としてはハチェットフィッシュが挙げられます。カラシンの仲間ではコペラ類もよくジャンプします。その他ランプアイやプラティなど飛び出しを起こしやすい魚種は少なくありません。

Hatchetfish
 フタを設けづらいときには、水槽上部に囲いを付ける、アマゾンフロッグピットなど浮草系の水草を配置するなどで飛び出しを予防することとなります。

見た目として許容できれば園芸用のネットなどを自作する手もあります。

画像出典:https://blogs.yahoo.co.jp

2.ヒーターカバーで、ヤケドを防ぐ

特に中型~大型魚で多いのが、ヒーターに接触したまま時間が経過し、熱傷を負ってしまうトラブルです。直ちに調子を崩さなくても、そこから感染症などを起こしやすくなります。これは市販のヒーターカバー(ヒーターガード)を使うことで簡単に予防できます。

画像出典:http://www.rva.jp

また、主に底層を泳ぐナマズ類などをメインとする水槽では、ヒーターを水槽の中層部に設置することでもトラブルが大幅に減ります。

市販カバー自体を壊してしまう魚や、ヒーターにつながっているコードを含めて破壊してしまう魚などもいます。このようなケースでは、塩ビパイプなどを使い必要なだけカバー類を自作するか、オーバーフロー水槽を選んで各種機材をろ過槽に入れるのが良いです。

3.一部のプレコが起こす「シリコンかじり」は水槽選びで防ぐ

一部のプレコ類では、水槽の隅に充填されているシリコン部分(透明・黒・白っぽいゴムのようなもの)をかじることがあります。

プレコ全般に流木など色々なものをかじりたがります。この行動そのものは給餌法などでは防げないので、「シリコンかじり」防止には、隅を曲げ加工処理されている「フレームレス水槽」を選ぶと良いでしょう。

 

画像出典:http://www.adana.co.jp

また、大型プレコでは、アクリル水槽の壁面をかなりの勢いで削っていくことがあります。アクリルはガラスよりは削れやすい物質ですから、キズやくもりが出てきます。ガラスですと最大は120cmぐらいとなりますから、プレコのサイズからして無理がなければガラス水槽を選ぶことで対策になります。

しかし、120cmを超えるようなビッグな水槽がほしい場合ガラスでは強度的に無理が生じ、基本的にはアクリルとなります。多少は妥協が要ります。

ゴールド スポッテッド プレコ

gold spotted pleco

4.万一に備える「ヒーター・サーモ2つ」

熱帯魚が命を落としたり、急激に調子を落とすのは、やはり水温の急激な低下時に多いです。大型魚などはサーモのIC部を壊したり、ヒーターを引っ張ってコードを抜いてしまうなどのことすら起こします。こんな時ヒーター&サーモを離れた位置に2置いておけば、もしその場に居合わせなくてもある程度リスク回避になります。もっとも、水温が上がってしまう方向でのトラブルには、これでは対策となりません。

画像出典:http://www.kaiyou-k.jp

また、ヒーター類は自然な劣化により断線などの故障を起こすこともあります。急遽スペアを調達するといっても限界がありますので、2つ持っておくことは保険になります。

5.気になるものは、全てろ過槽に入れる!オーバーフロー水槽が便利

オーバーフロー水槽では、サーモのセンサー部、ヒーターなどをすべて水槽台の中のろ過槽に設置できます。こうしますと、水槽には純粋に魚・水草レイアウトなどだけが存在することになり、スッキリします。

画像出典:http://www.shopping-charm.jp

機材と魚の関係から来るトラブル防止の観点から見ても、オーバーフロー水槽は優れています。

6.大型魚の飛び出し・這い出しは「重し」を使って防ぐ

大型のナマズやアロワナでは、単にフタを置いてあるだけでは、それを押しのけるぐらいの勢いで飛び出してしまうことがあります。これを防ぐのには、レンガや水入りペットボトルで重しをするのが良いでしょう。

画像出典:http://blog.goo.ne.jp

ピンクテールカラシン、ペーシュ・カショーロなども飛び出しを起こしやすい魚です。

7.衝突で水槽が割れることも?大きな魚には適宜、アクリル水槽を使おう

ガラス水槽はキズがつきにくく、長く続く透明感がありますが、衝撃で割れてしまいやすい面を持っています。120cm水槽ぐらいまでならガラスで特に問題がありませんが、それを超える空間を与えたくなるような、力のある大きな魚を飼育する場合は「アクリル水槽」がおすすめです。

30cmを超えるような大型魚は、何かに驚いて突進してしまったさい、ガラスに衝突し、割ってしまうことがあるのです。

画像出典:http://item.rakuten.co.jp

8.子供や他のペットによるイタズラ・事故も気にかけておく

子供は、アクアリウムの壁面を叩くなどの行動もしがちです。それで魚が驚いたりすることも問題ですが、各種設備が壊れ、漏電などを起こしてしまうと人間側にもリスクが出てきます。活発な子供がいたり、子供の友達が元気な場合には水槽の置き場所に注意したいものです。

は小さな魚に興味を示しがちで、水槽が全く無防備であれば、手で掬ってしまうことも珍しくありません。フタの設置などで対応しましょう。また掬うことがなくても、猫がいつも水槽前にいると、臆病なタイプの魚は強いストレスを感じます。アクアリウムを置く部屋そのものから考える必要もあります。

犬やウサギは一般にアクアリウムとは相性が良いというか、さほど魚と関心を示し合わないものです。

意外な盲点といえるのが「鳥」です。窓際に水槽を置いている人では、「窓を空けていた僅かなスキに、表層部を泳ぐ熱帯魚が全て姿を消しており、それが鳥(野鳥)の仕業であった」ということも稀にあります。基本的にはフタやネットで防げることですが、鳥に関しては飼っていない人でも注意が必要です。

画像出典:http://calicohana.exblog.jp

9.自分がけがをすることもある!取扱い注意の熱帯魚

熱帯魚の取扱により、飼育者自身がけがをしてしまうことなどもあります。

「ピラニアが危ない」とは誰でも思いつくところですが、比較的出回っている「ピラニア・ナッテリー」は案外とおとなしいところがあります(しかし不用意に水槽に手を入れたりは絶対しないように)。ところが、ピラニアについてナッテリーを基準に考えてしまってはいけません。ブラック・ピラニアやピラニア・ピラヤ、ジャニアントイエロー・ピラニアなどはナッテリーより格段に危険です。

また肺魚フグ類(特に大型のもの)、ノーザン・バラムンディなどに指を噛まれけがをする事例もありますから要注意です。※ケガに至らなくても、フグ類は小型のものでも結構手指を噛んできます。

淡水エイは尾ひれにトゲがあるため、取扱い注意です。人や他魚に刺さるだけでなく、網に引っかかって取れないなどのトラブルも起きます。トゲについてショップなどに良く聞いた上で購入しましょう。

デンキナマズ、デンキウナギについても知識がない状態での飼育は大変危険です。(デンキウナギほど危険でないとして)デンキナマズについては面白がって触れる人もいますが、魚をむやみと触るのは基本的にNGです。体表を傷つけて魚に大きなダメージを与えてしまいます。

ピラニア

10.ケンカで最悪の事態も?相性の悪い魚は組み合わせない

魚同士の相性があまりに悪いと、やはりケンカとなりがちです。一般に注意すべきなのはシクリッド類グラミー類となります。

シクリッドはペアを作るか、あるいは単独でも縄張りを主張する種類が多く、混泳に向かないとされる種類は単独・ペアで飼育するのが基本となります。ディスカスやエンゼルフィッシュ、またドワーフシクリッドとされる種類では問題がありません。

グラミー

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グーラミィなどアナバンティッド類も気の強いものが多いため、他種・他個体との混泳には慎重になる必要があります。小型カラシン類やコイ、メダカなどおとなしい魚とは基本的に相性がいいですが、グラミー同士、グラミー×シクリッドの組み合わせは特に要注意です。ベタに関しては、ピースフルベタとされるものを除き、オス同士の混泳は不可です。

プレコはそう気の強い魚ではないものの、ものに吸い付いてしまう性質があります。このため大型の魚の体表に吸い付きケガをさせてしまうことがあります。

小型魚の中で要注意なのは何といってもスマトラで、飼いやすく愛らしい魚ですが、他種をつつく習性がとても強いです。単独種での飼育が基本になります。

スマトラ
Tiger Barb (Puntius tetrazona)

また、エレファントノーズなど極端に臆病な魚では、隠れ家をしっかり作ってあげないと、攻撃的でない魚との同居でもストレスで死んでしまうことなどがあります。

エレファント・ノーズ・フィッシュ
Peters' Elephantnose Fish

魚のケンカは、ヘンに人間が仲裁しようとしても(他魚を入れて注意をそらさせる等)、土台無理があります。やはり仲の悪い個体同士は別の水槽に分けるのがベストで、できない場合セパレーターで仕切るなどハッキリと対処しましょう。

 

11.用意しておきたい「セパレーター」

同じ水槽において、仕切りを設けられるのが「セパレーター」です。具体的には、穴のあいた透明な樹脂製の板のような製品です。

セパレーターがあると、水温、水質などを変えることなく、相性の良くない魚同士を接触させないようにしたり、ヒーターや各種コード・パイプのある位置から魚を避けることができます。

魚同士の相性が思いがけず悪い・悪くなってきた場合、それだからとすぐ別の水槽に移してしまいますと、やはり病気の心配などが増えてきます。セパレーターは水質・水温が全く同じなままで個体を住み分けさせられるところが利点です。

ずっと使うと考えると、見た目としてはそう良いものでもありませんが、応急的な措置にもきわめて便利で、一枚用意してくと何かと安心です。

画像出典:http://www.shopping-charm.jp/

画像出典:https://plaza.rakuten.co.jp

12.「こんな行動をしてるの?」思わぬトラブル防止には、夜間の動きも観察しておこう

一見すると温和に思える魚でも、夜間になるととても激しく泳ぎ回っているケースがあります。夜間に水槽を飛び出したり、水槽内の機材を壊してしまうなどのこともあります。

モルミルス類は夜行性のものが多く、なかでも大型で暴れん坊なジムナーカスなどは、昼間おとなしくても、夜中に大暴れして朝起きたときには水槽がむちゃくちゃに…なんていうことも。
Gymnarchus niloticus
灯りをつけず、時々夜間の水槽を観察してみることも大事です。

まとめ

フタやヒーターカバーなどを適宜用意して、トラブル予防に努めましょう。

またそもそも、ガラス/アクリル水槽どちらを選ぶべきかなど、アクアリウムのスタート時点で考えなければならないことも多いです。

魚の組み合わせ方も、たとえば「見た目がかわいいから」などと、あれもこれもと買い足して増やしていくのでは、相性の悪さから来る思わぬトラブルが発生しがちです。良く調べて選び、組み合わせましょう。

セパレーターなどの器具は、いわゆる購買意欲をそそるものではないかもしれません。しかし、万が一に備えておくことで、落ち着いてアクアリウムを楽しめるのです。

特に大型魚の起こすトラブルは魚自身だけでなく、人にとっての被害にすらつながります。中型魚からステップアップするときなどは、「同じ魚だから」と安易に購入せず、さまざまな可能性を良く考えて、スタートしたいものです。

スマトラのケンカ動画

 

※本記事内のtwitter・flickr画像につきましては、twitter・flickrの埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

(※↓詳しくはコチラへ)
参照・画像出典:YouTube(nonbiriful)
(本記事は上記の報道や情報を参考に執筆しています)

 

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