2017 07/06
熱帯魚・エビ

水草水槽レイアウトによくマッチする「ラスボラ」の特徴・混泳・飼育法などを知ろう

1.飼いやすく、水草レイアウト作りに集中できる

ラスボラという一群の魚は、小型コイの仲間で、アジア産です。強いて言えば弱酸性の軟水を好みますが、中性の水で十分に飼育でき、熱帯魚飼育入門にも向く種類です。大きさは1cm台〜20cmほどまでですが、主に3-5cmの魚が多く、静かな群れを作ります。水草レイアウトにもぴったりです。

代表種の1つ、ラスボラ・ヘテロモルファ
Rasbora

飼育に際して特に難しいことがなく、その分、レイアウトに凝ったり、水草とのコントラスト・調和感づくりなどに集中できます。ラスボラはラスボラ同士、あるいは他魚との混泳も容易なので、魚の組み合わせによる見映えづくりも気軽に楽しめます。

こうしたコイ系はカラシンやメダカ類よりも飼いやすいとするアクアリストも多く、親しみやすいものです。また欧米では、ラスボラなどアジア系の魚は珍重される傾向があり、海外のアクアリストと動画や写真を共有することも楽しめます。

ミクロラスボラ・エリスロミクロン
microrasbora erythromicron

代表的ラスボラとしては、バチ状の模様があるヘテロモルファや、それに似るエスペイ、ヘンゲリの他、ブルーアイラスボラ、ファイヤーラスボラ、細長い体型の金線ラスボラやレッドラインラスボラなど。小型のミクロラスボラの仲間(”ハナビ”も人気がありますが、別の仲間です)、ボララス・ブリジッタエ、ラスボラ・マクラータなど、2cmほどの超小型種もいます。

2.中層を静かに群泳するラスボラたち

Trigonostima heteromorpha
ラスボラは、水槽の中層を泳ぎ、群れを作ります。泳ぎ方は、種類によりますが静かなもの大多数です。せわしないとか、縦横無尽に泳ぎ回るとか、常にどこかに隠れてしまうとかの特性はありません。

静かめの水草レイアウト水槽を楽しみたい方には、やはり向いている魚です。魚選びにあたって、候補から外せない種類ですね。
Forest
有茎水草をメインに森のようなレイアウトにしてもいいですし、大きなセンタープラントや存在感ある岩、流木をメインとする水槽にもマッチ。前景・中景・後景と作るオーソドックスなレイアウトやネイチャー系のタンクにも合います。

3.ラスボラは、温和で混泳にも向く

ラスボラの仲間は温和でおとなしく、攻撃性はナシ。また、泳ぎも静かで他魚にストレスを与えず、かつ神経質でもありません。混泳水槽にも、とても合う種類ばかりです。

この例では、オスのベタとの混泳となっています。オスのベタは一匹飼いであれば、他種たちと混泳可能です。引き立て役としてラスボラに泳いでもらうのも、また良いかもしれません。ただし、ベタの特に気性の荒い個体の場合、混泳は避けてください。
Aquarium
主に中層を泳ぐため、やや表層寄りを泳ぐメダカ類と組み合わせても面白いですし、泳ぎ方が似ているテトラ類と合わせても、群れ同士のコントラストが楽しめます。
Planted Community Tank
底層を泳ぐコリドラスなどとも、問題なく混泳させられます。泳ぐ層が違うこともそうですが、ラスボラは他の魚にちょっかいを出す性質がほとんどないのです。若干なり気の強い面があるグーラミィやドワーフシクリッドとの混泳も問題ありません。

ある程度幅広い水質・水温に適応するものも多いのがラスボラ。やや水質にうるさい魚と合わせても、ラスボラが適応する範囲であれば、そちらの魚に合わせた水温・水質として大丈夫です。

4.派手すぎないのもラスボラの魅力。水草レイアウトを引き立てる

正直言って、ラスボラはそれほど派手な魚ではありません。ヘテロモルファ、エスペイなどでは面白い模様がありますが、ラスボラ全体として見ると、目を奪われるような色彩や模様はそれほど見られない傾向です。

 ヘテロモルファ
313/365. Harlequin rasbora

ラスボラたちは、飼い込むことで地味ながら赤みなどが鮮やかになってきますが、それでも基本としては控えめなルックスですね。このため、水草レイアウトに自然に馴染み、緑をよく引き立ててくれます。
Micro Rasbora team
ラスボラは、ネイチャーアクアリウム系で楽しみたい人にも向きますね。熱帯魚の普及当初は「鮮やかな、普段見られない魚」を飼うことがメインでしたが、1990年代以降などでは、「自然を再現する」楽しみ方をする人も増え、そんな中ラスボラは地道に普及してきました。

5.他の小型コイとの違い。バルブ、ダニオ、ドジョウとは異なるラスボラの個性

小型のコイ(分類学的には”コイ目”の魚)は、熱帯魚の中でも買いやすい種類で、バルブ、ダニオ、ドジョウなどの仲間がいます。主にアジア原産で、口元などは日本の金魚やフナなどにも似ます。

まず「バルブ」ですが、この仲間は中層だけでなく、底や水面など、どのエリアも泳ぎ回ります。群れも作りますが、バラけがちな面があります。金魚(ワキン)をイメージすると近い動きですね。これと比べると、ラスボラは、群れで中層を静かに泳ぐイメージです。バルブも温和ですが、スマトラなど一部のバルブは攻撃性があります。

バルブ種:スマトラ
Tiger Barb

次にダニオ。ダニオは水槽の表層部分を中心に、とてもせわしなく泳ぎ回ります。これはこれで可愛く華やかなものですが、ちょっとうるさいと感じるアクアリストもいるでしょう。温和で他の魚を気にしませんが、いかんせん「はしゃぎ屋」なダニオなので、神経質な魚との混泳には、あまり適しません。

 ダニオ
Leopard Danio

ドジョウは底を泳ぎますが、底砂などを掘り返すクセがあるため、水草をソイルや砂に植えたレイアウトには、ちょっと適さない面があります。工夫次第ではレイアウトを楽しめますが、水草にこだわりたい人には、ちょっと注意が必要でもあります。混泳などは基本的に問題がありません。

どじょう種:クラウンローチ
Botia Pagliaccio

また寿命という視点では、ラスボラは3年前後のものが多く、バルブは5年以上など生きるものも。ドジョウはさらに長寿です。ここはどれが良いとも悪いとも言えず、アクアリストの考え方次第です。「あまりに長い年数は、アクアリウムをできないかも」とする人には、ラスボラが良いという見方もできます。

ボララス・ブリジッタエ (ラスボラの仲間)
Chili Rasbora
やはり水草レイアウトには、コイならラスボラが合うとするアクアリストも多数います。もちろん、ラスボラ、バルブ、ダニオ、ドジョウのすべてを混泳させても、アジア的な美しい水槽に仕上がります。

6.群泳する他の魚とは何が違うのか。ラスボラを、テトラ類、メダカ類と比べてみる

レイアウトで群泳させるのに適しているのは、テトラ類、メダカ類なども挙げられます。どれも温和で、混泳にも向く魚ですね。飼育も基本的には簡単なものが多いです。

テトラ類はラスボラとサイズや性質、泳ぎが比較的似ており、南米・アフリカとアジアで、それぞれ似た進化を遂げてきた印象もあります。ネオンやカーディナルのような派手な色彩のものは、ラスボラでは、ほぼいません。

ラミーノーズ・テトラ (カラシンの仲間)
tropical fish -- Hemigrammus rhodostomus

テトラなどカラシン系は「クール」なイメージがあり水草に合いますが、ラスボラも、「コイ類の中ではクール」といったところ。個人差もありますが、金魚のような愛らしさは、ラスボラのほうが少しだけあるかもしれません(良く見てみると、という程度の話)。

ラスボラとテトラ類は似ており、ビギナーではよく分からなかったりもするものですが、口元と、テトラなどカラシンにある脂びれ(尾びれと背びれの間の小さなヒレ)で判別できます。

メダカ類では、まず卵胎生メダカ(グッピーやプラティなど)は、非常に殖えやすいという特徴があります。しかしそれだけに、「レイアウトを楽しみたいのだが、魚が殖えすぎて困る」という状況も、ときには起きます。また水槽の上部を好む傾向がありますし、姿・色彩は派手です。

卵胎生メダカの多くは水質適応力がありますが、厳密には中性~弱アルカリを好むものが多く、「弱酸性の軟水」を好むラスボラのほうが、多くの水草と、好む水質が似ている、とも言えます。

アフリカン・ランプアイ (卵生メダカの仲間)
lamp eyed tetra 01

アフリカン・ランプアイなどは、ラスボラと比較的似た静かで透明感あるイメージですね。ただ、この仲間はあまり種類バリエーションがないため、その点ではラスボラのほうが面白いともいえます。

テトラとラスボラをそれぞれ1種類ずつ群れさせて組み合わせても、静かなイメージで面白いですし、メダカ類、テトラ類多種と合わせても楽しいでしょう。

7.「混じり」が期待できる

あるラスボラを30尾買うと、1-2匹ちょっと違う感じのラスボラが混じっている」ということが時々あります。金線ラスボラ、ブラックラインラスボラ、レッドラインラスボラなどで特に多い現象ですね。

Rasbora agilis
Black striped Rasbora

Rasbora borabetensis
IMG_7794.jpg

たしかにこの辺りのラスボラは似ており、この例では上がブラックラインラスボラ、下が金線ラスボラと言われることが多いですが、一緒になっていたり逆だったり。そんな状況もあるくらいなので、「違う魚」も紛れてしまうのでしょう。

きちっと魚種を揃えたい場合では、マイナスポイントかもしれません。そこは、ショップと良く相談です。この「混じり」についてはショップ各店で考えが違うところで、「積極的に混じりを楽しんでもらおう」とする姿勢の店もあります。

微妙に違う種類のラスボラ(学術的にもまだ区分けされていないものもある)をコレクションしていき、「微妙なばらつき」がある水景に仕上がっていく様子を眺めるのも、レイアウト上面白いものです。

8.水質や餌は? 水草レイアウトでも、まず飼育に困らない

さてラスボラの飼育ですが、水は、「厳密には弱酸性の軟水が良いが、中性で構わない」という考えで大丈夫です。一部の飼育困難種などでは、きちっとそれぞれに合わせます。

流木を使ってレイアウトしていれば、自然と弱酸性の水をキープしやすくなります。また、非常に多くの水草があり、魚の数が極端に少ないレイアウト(例:水草ぎっしりの60cm水槽にラスボラ小型種数尾など)では、エアレーションはなくても良いぐらいです。※一般的には行ってください。

水温は25℃程度で問題ありませんし、調子も出ます。

えさは、ポピュラーなフレークフードでOKですが、2cm台など小さい種類では顆粒状のえさ、あるいはブラインシュリンプやミジンコ(乾燥でも良い)も適宜用意すると、スムーズに食べてもらえます。

画像出典:チャーム

魚中心で水槽を考えるなら、ラスボラ類には時々イトミミズや赤虫を与えてもいいでしょう(乾燥・冷凍でも良い)。

若干植物性のえさも食べる魚ですが、コイ類であるラスボラは顎ではなく喉に歯を持つため、水草をかじることなどはありません。むしろ、葉についたコケをつつくような行動を取る個体もいます。※コケ取りというほどのパワーはないですが

水草にも重きをおく場合、あまりに特殊な水質を好む魚では、水草と水質面で折り合いがつけにくくなります。また「つねに生き餌が必要」といった、やや手間のかかる魚では、水草管理に手が回らなくなることも。

ラスボラはシンプルに言えば「丈夫で温和で飼育容易」なので、水草などレイアウト面を重視したい人に向くのです。

9.ラスボラを泳がせた、レイアウト例 1

BONES OF THE EARTH
1mを超える大型水槽にダイナミックに水草をあしらっています。数え切れないほどのラスボラが、見事に中層で群れています。水の流れも上手く作っていますね。色鮮やかな魚をメインとしたなら、このイメージは作れないことでしょう。

多めながら、「水槽の大きさ一杯までは、魚を入れていない」のも、群れの動きを出すポイントになっています。30-60cmなどの水槽でも、この考えは応用できます。

10.ラスボラを泳がせた、レイアウト例2

Mixed fish tank
こちらは、明るくお手軽なイメージのコミュニティタンク。テトラ類、レインボーフィッシュなどとラスボラ数種が混泳しています。大人しく縄張りを作らないタイプの小型魚を上手く組み合わせ、水草に関しても、セオリーにとらわれず自由にのびのびと植えています。

11.ラスボラを泳がせた、レイアウト例3

90x45x45cm planted tank
パッと見た感じ、魚がどこにいるのか?なかなかこだわったネイチャー系レイアウトです。実際の自然の水景では、魚がまばらであったり、それも地味な体色であることも多いはず。控えめなラスボラに泳いでもらうことで、美しさを作り出しています。

まとめ

ラスボラは、水草レイアウトにも非常に合う魚であり、特に地味めなタイプでは、水草レイアウトでないと魅力が出ないともいえますね。

ラスボラの中でも小型種なら、30cm未満といった小型水槽でも十分に飼育でき、飼育できるだけでなく水草との調和も楽しめるのです。

 

「水草レイアウト、各種レイアウトをやってみたいけど、何の魚が良いか」という人にはぜひ検討してみてほしいグループがラスボラです。

「テトラ類やメダカ類に少し飽きてしまい、新しいタンクを作りたい」とか「水草は好きなんだけれど、あまり魚を目立たせないほうが好み」といった人にも向きますね。

飼育容易で温和なので、単純に熱帯魚入門としても良い魚たちです。きれいに群れてこそ本来の調子も出ますので、基本的に数尾以上で飼ってあげてください。

 

ラスボラ・ヘテロモルファと、ネオンテトラとの組み合わせて混泳している動画です。

 

(※↓詳しくはコチラへ)
参照・画像出典:http://www.nettaigyo-zukan.com
参照・画像出典:https://www.youtube.com
参照・画像出典:http://www.geocities.jp
参照・画像出典:https://www.ukaps.org/
(本記事は上記の報道や情報を参考に執筆しています)

 

 

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