これは渋い!地味だけど”通”な感じの熱帯魚12選
1.メティニス 〜シンプルなシルバーが美しい、ピラニア似の草食派〜
「メティニス」は、草食性の強い中型カラシンです。サイズは20cm前後。25℃程度の一般的な水、しいて言えば弱酸性の軟水を好み、飼育は容易で丈夫です。
姿は一見ピラニアのようですが、水草水槽にはとても入れられない草食魚です。銀色が大変美しく、たとえば90cm水槽に数尾を泳がせるととても見栄えがします。
メティニスは群れで元気に良く泳ぐ魚で、縄張りも作らず「大きなテトラ類」のような感覚でも鑑賞できます。サイズ的に近いディスカスなどとはまた全く違っていますね。水槽を覗き込んでじっくり観察するというよりは、リビングや玄関先にタンクを置き、インテリアの一部として遠くからざっくり眺めるのも楽しいものです。
茹でたほうれん草や小松菜などもよく食べ、えさは植物性のフレークフードを主体にします。また、「食べられても良い」と割り切って安価な水草を植える楽しみ方も可能です。
2.ハイランドカープ 〜一風変わった「胎生」メダカ〜
ハイランドカープは「胎生(真胎生))」のメダカであり、グッピーなどの卵胎生メダカ、あるいはアフィオセミオンなどの卵生メダカとも全く異なる生態を持っています。
体長は約6cm。飼育は25℃程度の一般的な水質(中性)でOKで、飼育容易かつ丈夫です。遊泳する姿はグッピーやプラティなどに似ていますが、水槽上部に集中することはなく、中層を泳ぎます。似たサイズの他魚との混泳も基本、問題ありません。
さほど派手な色彩ではありませんが、独特の可愛らしさを持つ「渋い」メダカです。水草レイアウトにもよくマッチします。
10mm以上にもなる稚魚を出産していくシーンを目撃できると、なかなか感動。また稚魚が大きいため稚魚を育てることも簡単です。
3.クラウンローチ 〜ポップ&キッチュな元気者〜
古くから親しまれている中型のドジョウが、「クラウンローチ」です。分かりやすい色彩が最大の特徴。飼育下では15~20cmほどですが、野生では30cmほどになります。180cm以上の水槽を用意できれば、そういったサイズまでの成長も狙えます。
群れる性質があり、数尾で飼うと調子が出ます。60cm~90cm以上の水槽に数尾を飼うのが良いです。
底部を中心にとにかくよく泳ぎ、口に入るものはほぼなんでも、たくさん食べてしまう元気な性格です。一面ではそれがネックでもあり、どうしても水や砂が汚れがち。
しかし、残餌を食べてくれるコリドラスなどとの混泳は、大きくなってくるとやや問題が出てきます。(本種の元気さに圧倒されストレスが溜まってしまう)
またドジョウ全般に砂・ソイルを掘り返して水草レイアウトを若干乱してしまうことがありますが、クラウンローチは大きくパワーもあるのでレイアウトに徹底的にこだわる方には向かない面もあります。
25℃程度の中性の水で飼え、強健な種類です。底床の汚れを防ぐためそもそも砂を敷かないか、あるいは大きめの粒の砂を使い、底床クリーナーで時々掃除してあげるのが大事です。ろ過装置も水槽サイズ・匹数に対してパワーのあるものを使います。
透明感があり静かに泳ぐ熱帯魚も良いものですが、ポップな色彩で元気に泳ぐ本種も、また素朴な魅力があります。20年以上生きるケースも多いなど、長寿で人馴れもします。子供にもウケがよく、魚でありながら犬猫、うさぎのような感覚でも親しめます(ただし、魚はむやみと触らないこと)。
4.パンチャックス 〜メダカだけれど、性格はアグレッシブ!〜
体長10cmほどになる、メダカとしては大型の種類が「パンチャックス」です。よく泳ぎ回り、飼育・繁殖とも簡単です。
しかし、何しろ性格が荒い面があって、パンチャックスより明らかに大きな魚以外とは、混泳させないのが無難です。魚食性も強いところがあり、口に入るサイズの魚などは食べてしまいます。パンチャックス同士の同居は問題ありません。
パンチャックスは、あらかじめ特徴を知っていれば特に飼育に困らない魚です。しかし「メダカの一種だから何かとカンタンだろう」と安易に購入してしまうと、思わぬサイズに成長してびっくりしたり、他魚との折り合いがつけられないなど、付き合い方に困ってしまうことも。しかしそういった、ちょっと変わった部分こそがパンチャックスの魅力です。
5 シルバーシャーク 〜名前はサメ、容姿もシャープ。けれど大人しい?〜
美しいコイ類として古くから親しまれているのが「シルバーシャーク」。シルバーメタリックを基調としつつヒレの後端が黒く染まり、とてもシャープで美しい体型・体色をしています。
体長は40cmほどにもなるため、飼育には最低でも90cm以上の水槽が必要です。シャークと名付けられていますが性質は穏やかで、中性~弱酸性の水で容易に飼育できます。
他魚との混泳も可能ですが、本種のみ・本種メインで数尾を群泳させると見ごたえがあります。えさもフレークフードでOKで、やや飛び出し(ジャンプ)が起きやすいことのほかは、これといった注意点がありません。
あまり難しいことなしに、迫力ある中型魚の飼育にチャレンジしてみたいとする方にも向く魚です。
6.ロージィバルブ 〜金魚のよう?親しみやすさが愛らしい〜
「ロージィバルブ」は、コイ類、プンティウスの仲間です。体長は12cmほどに成長します。チェリーバルブ、ゴールデンバルブ、スマトラなどとも近い種類で、大変飼育しやすく温和な魚です。
入荷したてのものを店頭などで見ると、それほど派手なものではありませんが、じっくり飼育していき成熟させるとヒレが色づき、美しい婚姻色を呈します。
水草レイアウトにもよく合い、混泳水槽にも向く魚です。バルブとしてはやや大型になり、一見すると金魚にも似るような親しみやすさ・地味さがあります。しかし飼い込むことで非常に美しくなる点が「通向き」と感じさせる魚です。
バルブ全般に言えることですが、パッと見たところそれほど派手でなく入手容易・飼育が簡単でも、じっくり付き合っていくことで想像を超えるような美しさを見せてくれます。
7.レッドアイ・カラシン 〜品のあるアフリカ産カラシン〜
「レッドアイ・カラシン」はアフリカ産で、体長約10cm程度になる中型魚です。意外と高価なこともありますが、グリーンの鱗が大変美しく、目の周辺のレッドとのコントラストも独特です。「ごつさ」と「繊細さ」が同居したような不思議な雰囲気を醸し出しています。
性質はおとなしく、各種テトラ類と似た感覚で飼育できます。単独ではなく複数を群れさせて飼育すると調子も出て、見映えもします。混泳、水草レイアウトにも、とてもよくマッチ。
注意点としては水質の急変に弱い面を持つことで、購入して水槽に導入するときは慎重に水合わせをします。また水換えもあまり頻繁に行わないことが重要です。きちんとろ過システムが機能している、あるいは水草が繁茂しているなどの状況を作ってから導入してもいいでしょう。この点で中級者以上向けといえますが、環境に馴染めば丈夫であり、味が出て来る熱帯魚です。
8.金線ラスボラ 〜飼い込むほどに味が出る〜
大変古くから親しまれている小型熱帯魚の1つが「金線ラスボラ」です。熱帯魚といえばこれ!というような注目度ではないものの、透明感あるボディにゴールドとブラックのラインが入り、地味ながら非常に美しい魚です。学名は”Rasbora Borapetensis”で、体長5-6cmです。
性質はたいへんおとなしく温和、中性~弱酸性の水で問題なく飼育でき熱帯魚入門にも向きます。水草水槽にもとてもフィットする魚です。どうしても地味なためか、にぎやかな混泳水槽の脇役的に扱われるケースも見られますが、本種を主体としてもとても渋い水槽に仕上がります。
飼い込むことで体色・ヒレの伸張などがたいへんキレイになるのも特徴。入門魚として気軽に買える魚とは思えないような姿も見せてくれます。このあたりは同じコイ類・飼育容易種であるアカヒレなどにも言えることです。
金線ラスボラでなんといっても面白いのは、姿が似ているブラックラインラスボラ、レッドラインラスボラ、あるいは似ているが種類不明のものなどが混入しているケースがあることです。それらとの混泳も基本的には全く問題なく、どれも飼育が容易。気がつかないうちに「各種ラスボラのコレクション」を楽しめたりもします。あまり高価な魚ではないためか、そういった点もおおらかに受け入れられています。
9.パラダイスフィッシュ 〜強健だけに注目されない?隠れた美魚〜
温帯種で、タイワンキンギョとも呼ばれるのが「パラダイスフィッシュ」。オスフロネムス科であり、グーラミィ類と同じ仲間です。体長は約10cmほど。中国福建省以南、台湾、ベトナム、アジア各地域のほか、沖縄にも生息しています。(沖縄のものは人為的に持ち込まれ、帰化したものとも言われます)
15℃程度以上の水温をキープすれば容易に飼育でき、とても強健な種類です。また溶存酸素が少ない状況でも生活できる魚でもあります。しいて言うなら、あまり水の流れが強い環境を好まないため、ろ過は控えめにします。
温帯魚ともいえますが、25℃程度の水温とし、熱帯魚とも混泳させられます。ただしグーラミィ系独特の気の強さが結構出ている魚ですので、狭い水槽の場合、同種他種とも、混泳はやや慎重に行います。
このような温帯魚でポイントなのは、室温で飼育し、季節変化・日内変動のある自然な水温変化を与えることで、とても美しく育てられることでもあります。他の温帯魚・温帯水草とももちろん組み合わせられますので、一般的な熱帯魚水槽とは一味違う、ちょっと渋い水槽に仕上げることも可能です。
ショップによってはなかなか見かけることができないのもパラダイスフィッシュです。目先を変えて日本産淡水魚(いわゆる日淡)を扱う店を訪ねると見かけることも多く、比較的安価に入手できます。
10.ファイヤーマウス 〜繁殖期の体色が美しいシクリッド〜
グレー系の体色を持ち、15cmほどになるシクリッドが「ファイヤーマウス」です。丈夫で飼育容易な種類です。口吻部周辺、尻ビレが赤く、これが繁殖期となるとさらに鮮やかになります。
シクリッドとしては温和ですから他種との混泳も可能です。しかし、体色の鮮やかになる期間には気の強い面が出てきます。もともと単独種のペアで飼うか、適宜タンクを移動させる・仕切る方法などが適しています。
地味で一見あまり目立たないシクリッドですが、長く親しむと美しさが分かる、そんな渋さを持っています。
11.ブロキス 〜コリドラスみたいだけど違う魚〜
体型はコリドラスに似て愛らしいものの、10-15cmまで成長するのが「ブロキス」です。口吻がやや突き出し、背びれがコリドラスよりも前後方向に長くなっています。
性質的にもコリドラスに近く、底生です。「コリドラスが好きだが、もう少し大きな魚も飼育してみたい」といった人にも向いています。
ブロキスにはいくつかの種類がありますが、基本的には飼育容易な種類が多く、混泳も同種他種とも可能です。あまり小さいものでなければコリドラスとともに飼うこともできます。
12.ワイツマニ 〜テトラ─小さな宝石〜
約3cmと小さい、とても美しいテトラが「ワイツマニーテトラ」です。テトラ類の中でもひときわおとなしい種類で、水草などを多く植えて隠れられるようにして飼育します。
オレンジを基調としダークブルーのラインが入ります。なんといってもきれいなのは、キラキラと宝石を散りばめたように輝く鱗です。価格的にも一般の小型テトラよりはやや高く設定されているケースが多数です。同種同士ではオスによるフィンスプレッディングも鑑賞できます。
他魚との混泳も可能で、ワイツマニーテトラ側から攻撃行動・威嚇行動を起こすことはありません。しかし臆病な性質を持つため、おとなしい魚(※攻撃性を持たないだけでなく、おとなしいことが重要)と組み合わせます。大胆な魚と組み合わせると餌を十分に取れないことがあるため、給餌の際は良く観察しておきます。
水質などにはさしてうるさくないため、臆病さに気を使えば飼育は難しくありません。餌に関しては小型カラシン用の人工飼料で大丈夫ですが、なかなか餌付かない場合が見られるため、ブラインシュリンプを用意しておくのが一般的です。
※本記事内のflickr画像につきましては、flickrの埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。
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