外来魚が日本を侵略!?日本で発見された熱帯魚たち
『外来魚』と言う言葉が日本で使われるようになって暫く経ちますが、皆さんは外来魚に付いてどのように思われるでしょうか。
外来魚と言えば真っ先に思い浮かぶのが『ブラックバス』と『ブルーギル』ですが、近年はこの2種以外にも様々な外国産の魚たちが日本国内で発見されるようになりました。地球温暖化の影響が原因なのか、本来ならば日本の気候では生きていけない筈の『熱帯魚』たちが自然の池や川で発見されるようになったのです。
外来魚が日本で自然繁殖してしまうと、様々な問題が発生してしまいます。代表的なものですと、元々日本にいた魚たちが駆逐されたり、日本固有種の魚たちが外来魚との交配によって絶滅してしまう事が挙げられます。もしそんな事になったら生物学的にも生態系的にも大きな損害となるでしょう。
外来魚の問題をもっと広く知って貰うためにも、今回は日本各地で発見された『熱帯魚』たちについてご紹介していきたいと思います。
200種類のも熱帯魚が住む『タマゾン川』
外来魚問題で最も影響を受けている河川は、恐らく東京の『多摩川』ではないでしょうか。
元々多摩川は首都圏の一級河川でありながら護岸化されていない事もあり、自然豊かな河川であったのですが、近年この多摩川で数多くの『熱帯魚』が発見されるようになりました。
多摩川で発見された主な熱帯魚
1.シルバーアロワナ
2.スポッテッドガー
3.レッドテールキャットフィッシュ
多摩川は東京・神奈川・山梨の3つの県を流れる大きな川で、東京と神奈川の県境にあるという立地の良さからか、ペットの放流や違法投棄が非常に多く『多摩川で釣りをすれば熱帯魚が釣れる』と言われるほど外来魚が猛威を振るっています。上記した熱帯魚以外にも大よそ200種類に昇る熱帯魚が存在していると言われ、その外来魚の多さ故に多摩川はアマゾン川を捩り、『タマゾン川』と呼ばれていると言います。
日本各地に存在する『野良グッピー』
画像出典:http://endora-ji2009.blog.so-net.ne.jp
とある有名会社のCMで紹介された事で有名になった『野良グッピー』については知っている人も多いと思います。
『野良グッピー』に正式な定義があるかどうかは分かりませんが、多くの人は野良グッピーを『日本で自然繁殖したグッピー』という意味で捉えている様です。
グッピーは初心者向けの丈夫な熱帯魚で、飼育も容易で繁殖も簡単な事から人気の熱帯魚でした。しかし余りにも容易に繁殖して増えすぎてしまう為持て余す人も多く、近くの川や池に捨てられたグッピーが自然に繁殖してしまったのが『野良グッピー』なのだと考えられています。
野良グッピーは日本各地で見つかっており、特に温泉地近くの川に多く住み着いていると言います。有名所では由布院や別府温泉の近くの川や湖に野良グッピーが繁殖していて、よく話題に上がるようです。
温泉の熱が流れ込む暖かい川であれば、低温に弱いグッピーも冬を越して生き残る事が出来るのかもしれません。
また温泉地以外でも埼玉や神奈川、上記した多摩川などでも野良グッピーが見つかる様で、日本全国でグッピーが繁殖しているのでは、という懸念からグッピーを特定外来生物に指定しようとする動きまであります。
琵琶湖で見つかる『大型熱帯魚』
ラムサール条約登録湿地でもある琵琶湖は、日本最大の面積と貯水量を誇る湖です。この琵琶湖でもまた外来種による生態系の変化が懸念されています。
琵琶湖にはブラックバスやブルーギルの他、滋賀県指定外来種であるスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の繁殖、大型熱帯魚の放流が問題となっています。
琵琶湖で発見された大型熱帯魚たち
3.タイガーシャベルノーズ
琵琶湖では大型熱帯魚が発見された事例が多く、特にアリゲーターガーは100㎝近い個体が発見された例もあります。アリゲーターガーは北アメリカ原産の熱帯魚で、日本と北アメリカは気候が似ていることもあり、日本でも繁殖してしまうのではないかという声もあります。
こういった肉食性の大型魚がもし繁殖などしてしまったら、琵琶湖の生態系のみならず漁業にも影響が出てしまうかもしれません。
沖縄で大量発生した『プレコ』
何コレカッコいい…
“@mazemaze4: @namakemonoHM
沖縄の川ヤバイ…
プレコなどの外来熱帯魚が山ほどいるらしい。 pic.twitter.com/5NMYYwmfzU“— 樹上動物 (@nmkmnHM) 2013年7月1日
プレコは南アメリカ原産の熱帯魚で、鎧を着こんだような屈強な姿からアクアリストの間では長い間人気が続く魚です。
プレコは種類も豊富で、その人気に関わらず非常に安価で出回っている種類も多く、水槽の底砂や食べ残しの掃除要員として水槽に導入するアクアリストが多く存在します。
しかしプレコは成長が早く大型になる種が多いので、掃除要員として導入したはいいが飼い切れなくなって川に放流してしまう人も多いと言います。
沖縄の川に自生するプレコの群れ
特に沖縄は気候が温暖で、またプレコは鎧のように硬い外皮に覆われている事もあり、外敵がいない環境のせいで爆発的に繁殖したのではないかと考えられます。
沖縄にはプレコを初めとする様々な熱帯魚が住み着いてしまい、沖縄県ではこれ以上外来種の魚が増えない様に注意を呼び掛けています。
5.まとめ
如何でしたでしょうか。まさか日本でこれほど熱帯魚が発見されるなんて思ってもみなかったのではないでしょうか。
もしもこれらの熱帯魚たちが日本の環境に順応してしまい、繁殖が起こってしまったら日本に元々いた魚たちの絶滅も危ぶまれます。例えば琵琶湖では外来魚の影響でビワマスやハス、鮎が減少傾向にあり、霞ケ浦ではワカサギやタナゴが減少していると言います。
こういった外来種たちは、元々人によって飼われていた個体が放流された結果日本に住み着いてしまったものが殆どです。外国産の熱帯魚の飼育を考えている方は、きちんと最後まで面倒を見られるかどうかを、よく検討してから飼育に望むようにして下さい。
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参照・画像出典:YouTube(しまづ外来魚研究所)
(本記事は上記の報道や情報を参考に執筆しています)
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